メルカゾールとチラーヂンを併用するのはおかしいですか?
バセドウ病の治療薬『メルカゾール』と
甲状腺機能低下症の治療薬『チラージン』を併用する場合があります。
これの何がおかしいか?というと
メルカゾールは抗甲状腺薬といって、甲状腺の機能を下げる作用があります。
つまり甲状腺ホルモンの量を結果的に減らします。
でも、チラージンは甲状腺ホルモンそのものです。
つまりチラージンは甲状腺ホルモンの量を結果的に増やします。
したがって、「甲状腺ホルモンの量を減らすメルカゾールと
甲状腺ホルモンの量を増やすチラージンを併用(一緒に飲む)ことはおかしいことではないか?」
と考える方が多いです。
ですが、メルカゾールとチラージンを併用するのは
バセドウ病の患者さんによくある処方なのです。
どんなときにメルカゾールとチラージンを併用するのでしょうか?
どんなときにメルカゾールとチラージンを併用するの?
バセドウ病は甲状腺ホルモンの量が増える病気です。
「バセドウ病ってどうして起こるの?」と気になる方はこちらの記事をご覧ください。
ともあれ、メルカゾールを毎日飲み続けることで
バセドウ病が改善し、甲状腺ホルモンの量が正常に戻ります。
長期間飲み続ければ完治することだってあります。
⇒バセドウ病の薬はどれくらいの期間続ければ完治する可能性があるの?
ただ、メルカゾールを飲むと甲状腺ホルモンの値が下がりすぎることがあります。
「じゃ、メルカゾールの量を減らせばいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。
メルカゾールの量を1錠でも減らすと、今度は甲状腺ホルモンの値が高いままってこともあります。
そんな場合にメルカゾールの量はそのままでチラージンSと併用することで
ちょうどよい甲状腺ホルモンの値に調節するわけです。
たとえば、甲状腺ホルモンの値が5が正常とします。
現在バセドウ病が原因で甲状腺ホルモンの値が10だとしましょう。
メルカゾールを飲んだら甲状腺ホルモンの量が1という異常に低い値になったとしますね。
そんなときにチラージンSと併用することで、甲状腺ホルモンの値を5にもっていくわけです。
こういった使い方をするときにメルカゾールとチラージンSを併用することがあります。
以上、メルカゾールとチラージンSを併用する場合に関する解説を終わります。