甲状腺機能亢進症 心不全 治療

甲状腺機能亢進症から心不全になったら治療はどうする?

甲状腺機能亢進症が原因で心不全になることがあります。
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの量が過剰な状態のことです。

 

甲状腺機能亢進症

 

甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にさせるホルモンなのですが
なぜ甲状腺機能亢進症になると心不全を起こすことがあるのでしょうか?

 

また、甲状腺機能亢進症が原因で心不全になったら治療はどうするのでしょうか?

 

 

甲状腺機能亢進症が原因で心不全になる理由

 

甲状腺ホルモンは心臓を動かす心筋の感受性を亢進させます。

 

心筋の感受性が亢進すると
  • 心臓が収縮する力が強くなる
  • 心拍数が増える
  • 心筋の不応期が短くなる
  • 房室伝導が活発になる

 

などの効果があります。

 

心筋の不応期というのは刺激が加わっても反応しない時期のことです。
房室伝導とは心臓の刺激の伝わり方のことです。

 

心臓には4つの部屋があります。

 

甲状腺機能亢進症 心不全

 

  • 右心房
  • 右心室
  • 左心房
  • 左心室

 

の4つです。

 

右心『房』と左心『房』と『房』がついているものは心房といい
右心『室』と左心『室』と『室』がついているものは心室といいます。

 

心臓がドクドクと動くときには心房が先に動き
そのときの刺激が心室に伝わり心室が動きます。

 

このときの刺激を房室伝導と言うわけです。

 

で、甲状腺ホルモンの量が多いと
心筋の不応期が短くなり房室伝導の刺激が強くなります。

 

その結果、心房細動や頻脈になることがあります。

 

頻脈とは、鼓動が早くなることです。
心房細胞は不整脈の一種です。

 

どちらも体に悪いことです。

 

心房細動や頻脈は心不全の原因。
だから甲状腺機能亢進症は心不全の原因になります。

 

ちょっとわかりにくい話だったかもしれません。
少なくとも「甲状腺機能亢進症になると心臓に負担がかかる
とだけ理解していただければ大丈夫です。

 

甲状腺機能亢進症による心不全の治療は?

 

甲状腺機能亢進症 心不全

 

甲状腺機能亢進症により
  • 心房細動
  • 頻脈

 

が起こるわけです。

 

心房細動や頻脈の治療をしても、十分な効果は得られません。
甲状腺が原因ですから、元の原因を治療しないと心臓病が改善しないのは当然のことです。

 

まず甲状腺機能亢進症の治療を行います。
甲状腺機能亢進症のお薬としてはチアマゾールが有名です。

 

チアマゾールなどで甲状腺機能亢進症の治療を行い
状態がよくなってきたら心臓病の治療を行います。

 

ただ、甲状腺機能亢進症の治療が上手くいった場合、
約7割の患者さんにおいて心不全の治療をしなくても
心房細動が改善したというデータもあります。

 

その場合には心房細動の治療は当然行いません。

 

甲状腺機能亢進症の治療後、なお心房細動などの病気があるなら
β遮断薬を使います。
β遮断薬は心臓を頑張らせないようにするお薬です。

 

β遮断薬としてはプロプラノロールが有名です。

 

以上、甲状腺機能亢進症が原因でなぜ心不全が起こるのか?と
治療法についての解説でした。

 

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